今回のコラム「感染性腸炎(食中毒)」(2016/ 5/20)
今回の熊本地震、一刻も早い終息を心から願うばかりですが、その避難所でも食中毒が発生したとのニュースがありました。
原因となる病原体には、大きく分けて細菌とウィルスがあります。
そのうち細菌によるものが約8割とされていましたが、最近ではノロウィルスによるものがかなり増加しています。
1990年代後半まではサルモネラや腸炎ビブリオなどの細菌が多かったのですが、2000年以降になりカンピロバクターという細菌とノロウィルスが増加しています。
2014年度の厚生労働省の食中毒統計では、事件数976件、患者数19,355人で2015年度よりは増加しているものの、全体的には横ばいか僅かに減少傾向です。
患者数では、多い順にノロウィルス(圧倒的に多い)、ウェルシュ菌、カンピロバクター、ブドウ球菌、病原大腸菌(腸管出血性大腸菌を含む)となっています。
- 下痢、発熱、腹痛、吐き気・嘔吐などの急性胃腸炎症状が主な症状
- 下痢は非常に頻繁に出現する症状ですが、一つご注意いただきたいのは下痢があるからといって、下痢止めを安易に使用するのは危険だということです。
- 下痢は悪いものを早く体外に排出しようとする謂わば生体の防御反応です。
- 下痢止めを使用することで腸管内容物の体内停滞時間を延長し毒素の吸収を助長する可能性があります。整腸剤であれば安全でしょう。
また、電解質バランスや腎機能に異常が生じることもありますので、こまめの水分補給が大切です。
丁寧なこまめな手洗いが更なる感染を予防するために非常に重要であることはいうまでもありません。
矢張り、早めに医療機関にご相談くださる方が安心だと思います。
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